みちのくひとり旅

 

弘前を出て一路十和田湖へ。昨秋見つけておいた露天風呂でしばし休息。
今5度目の風呂から上がったところで頭は
ダンディ(整髪料)の香りがムンムンしている。
御鼻部山近くになると両側の雪の壁は3mを越して冬景色となり
八甲田おろしが冷たい。
それでも又旅に出れた喜びは最高で寒さも苦にならない。

 

5月に入り、八幡平をめぐり石川啄木の故郷渋民へ。
啄木記念館の前で8日ばかり過ごす。
運が良い事に隣が給食センターで毎日給食の残りをたっぷりもらい感謝感激!!
近所のおばさんたちも毎日御飯とみそ汁などを持ってきてくれる。
アスパラガスもこの時始めて食べさせてもらったが実に美味かった。
又給食センターの所長さんも大きな焼きおにぎりを
毎日のようにもって来てくれ温かい人の情けが身にしみる。
こんなに食べきれないほどの食べ物をもらったのも久しぶりだ。
これでは少し太るぞ!!
残雪の岩手山はいつ見ても美しい。
土地の人もここから見る岩手山が一番だと自慢している。
バスガイドの弘子ちゃんと出会ったのも渋民だったっけ。
底抜けに明るくてかわいらしい娘で以後陸中海岸の北山崎・官古と出会って、

そのたびにおにぎり弁当をもらい話がはずんだ。
2年後 新宿の小田急デパートで展覧会を開いた時 

弘子ちゃんは約束通り来てくれたのであるが、
その時は旦那とふたり連れであった・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

陸中海岸をめぐり仙台でタイヤ交換。なにしろ前も後ろもツルツルになっている。
再び北上して平泉へ。

この頃から色紙に絵を描いて売ることを始め貴重な軍資金になった。
今日も横の売店から頼まれれてせっせと描く。
描いているものはこの店の名物の「とろろそば」と「吉次そば」
もちろん描き終えれば食べさせてもらえるのだ。
そばを食べ終えて外に出ると今度はとなりの商売がたきの店から 

うちの名物「三代定食」を描いてくれと頼まれ参ってしまったが、

何しろ金がないので それとこの「三代定食」の魅力に負けて描いてしまった。
これで平泉に着いた時には1000円足らずの金が4000円に増えた。
本日は「とろろそば」「吉次そば」「三代定食」とゲップが出るほど食った。
東北ではこの岩手県が一番思い出に残っている。人情豊かで明るい人々・・・・・・

 

やがて夏になりあちこちの温泉で休養しながら

秋田・山形・福島とめぐり再び信州を目指す。
妙義山の面白い峰々を見ながら小諸へ向かう。
やがて右手に浅間山が見えてきた。

 

※[方言]
岩手雫石付近
・おはよう→おはようなす
・そうだねえ→そうだなす
・私のうち→オラほのうち
・風呂に入りましょう→風呂に入るべし
・上手だねえ→うめえことうめえこと

秋田田沢湖付近
・あのね→あのよう
・それで→それでよう

 

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