連載に先立って

 

この連載は、昭和50年に講談社から出版された、松山清一の旅行記をリメイクした物語です。

 

1960年~70年代の日本の空気感、時代の息遣いを感じながら、物語をお楽しみいただければと思います、と、書くと恰好いいですが、 単なる懐古譚ではなく、当時の生命力を現代の読者が体感できる作品として蘇れらせるにはどうしたら良いだろうと今も呻吟しています。

 

 いっそ、改作などせずそのまま掲載した方が、作者の中に宿る純血をそのまま再現できるのではないかとも思いました。

私自身は、あの時代を生きてはいないのですから。

 

それでも、様々なものを濾過した後に見つかる、普遍的な青春時代の輝きというものをこの手で抽出してみたかったのです。人は忙しい毎日を送っていると、青春時代の思い出は忘却の川に沈んでしまいます。

 

・・・そんな時、これを読んでくれた誰かの、喉の渇きを潤す作品になれば、そんなことを密かに願っています。  

     

                        2013年9月12日  作者

 

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